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2017/11/07

【秋の取材後記】いにしえの姫方の遊び研究会・こゆるき会主催「月待ちに遊ぶ会」開催(2017年11月1日[水])

 

 

6月に発行した1/f vol.4『乙女の遊び』にて取材させていただいた

いにしえの姫方の遊び研究会・こゆるき会の遊び企画を

この度もロンデルが取材をさせていただきました。

 

 

今年の十三夜にあたる11月1日(水)に

肥後細川庭園 松聲閣 菊の間・朝顔の間にて

こゆるき会主催「月待ちに遊ぶ会」が開催されました。

 

  

 

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 (秋晴れになった当日の肥後細川庭園。下は、水琴窟[すいきんくつ]。

手水鉢の周りに撒くと、幻想的な音を奏でます。辺りはツワブキの花が見頃で、肥後山茶花が咲き始めました。

いずれも参加者よりご提供の画像です。)

 

 

 

 

 

 

庭園では徐々に紅葉が始まり、木々が色づきはじめていました。

十五夜のひと月後の月をめでる十三夜の風習は、日本独自のもの。

 

当日は夕映えの頃から宵にかけて、ゆったりといにしえの遊びに興じつつ 

名月の登場を待つという典雅なプログラムを楽しみました。

 

 

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(お月見飾り。十三夜のおまんじゅうは13個、そしてススキなどの秋草を供えます。)

 

 

 

緋毛氈を敷いたお部屋のしつらえも、月待ちのプログラムにちなんだものが飾られました。

汲出しでのどを潤し遊びの間(菊の間)に誘われると、緋毛氈を敷いたお部屋は

月待ちのプログラムにちなんだしつらえでした。

 

 

 

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肥後畳の床の間には浅緑色の袱紗にかぼちゃ型の香炉が置かれ、

お軸は、月にちなんだ時候の香記が掛けられています。

 

 

 

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*      *      *

 

 

 

第一部では、かそけき音に耳を澄ませて遊ぶ「耳香(みみこう)」を楽しみました。

小豆を入れた道具を耳元で数回振り、何粒入っているかをあてる風流な遊びです。

 

 

 

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(席主はこゆるき会主宰の村田真知子さん。)

 

 

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円盆に、つややかな真ん丸の朱塗りの道具が並び

香札が配られると思わず参加者の皆さまから歓声が上がりました。

 

 

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美しい貝の香札は、なんと席主お手製の月にちなんだもの。

満月のようなお道具たちの趣が、席に華やかさを添えます。

 

 

小豆の数は3種類。各々「十六夜」など月の異称がつけられ

月待ちの期待を高める風情が散りばめられています。

 

 

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筒状の耳香道具と比べると、球体の道具は音が反響し

 聞こえ方にも様々な変化がありました。

 

聴き分ける面白さから、隣の人が振る音にも耳を澄ませるなど

なごやかなひとときが続きました。

 

 

 

 

*     *      *

 

 

 

 

 

第二部では「貝合わせ」を体験しました。

王朝の典雅な遊びの代名詞であり

現在の百人一首カルタの源流となったとも言われています。

 

こゆるき会と言えば、貝合わせを思い浮かべる方も

いらっしゃるのではないでしょうか。

今回は四季の花々の貝に和歌の貝を交えて貝合わせを楽しみました。

 

 

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 (膝を寄せ合って、同心円上に並んだ貝を囲みます。)

 

 

 

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挑戦者は、桶から取り出された貝の色や形を見ながら、対となる貝を選び出します。

 

 

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そっと手もとに運び二枚の貝を合わせてみます。

このとき、貝の自然な丸みや心地よい質感が掌に伝わります。

 

 

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 (道端の「あかまんま」が可憐に描かれていました。)

 

貝の蝶番が「カチッ」と合うと、貝の内側の絵柄を皆に披露。

次々に「お見事でございます」と祝福されます。

遊びの言葉遣いも美しく、いにしえの時代へタイムスリップしたような感覚になります。

 

 

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正解する度に膝の周りが華やかに彩られるのも遊びの醍醐味です。

緋毛氈の上に様々な季節の花が咲き広がる様子は実に華やかでした。

 

それぞれの花にちなんだ思い出などを語り合いながら

貝の柄や色合いの美しさをじっくりと味わいました。

 

 

 

*     *      *

 

 

 

遊びに夢中になっているうちに、外もすっかり暗くなってきました。

お凌ぎの夕食をいただいた後は、いよいよお月見のひとときです。

菊の間も前半の華やかな印象から一変、幻想的なしつらえに変えられました。

 

 

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中廊下のお月見飾りには、席主お手製の宝珠型の手元明かりが灯されます。

 

 

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部屋の明かりをそっと消してみました。

お部屋の緋毛氈にあたたかみのある手元明かりが席を彩り

月待ちにふさわしい優雅な空間が広がります。

夜空を見上げると、中空に煌煌としたお月さまが掛かっていました。

 

 

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お月見にいただいた茶菓。月をめでる姫君の紙敷に、

栗名月にちなんだ薯蕷饅頭と香り高いお煎茶が用意されました。

 

吉野杉の折り紙細工の菓子皿も、なんと席主お手製のもの。

美しい木目がはっきりと残されていて、杉のすっきりとした香りが

ふんわりとあたりを包み込みます。

 

席主の手のぬくもりから伝わるおもてなしの数々に、

参加者の方々も終始、心を和ませるご様子が印象的でした。

 

 

 

*     *      *

 

 

月明かりの下で、和やかに遊びながらお月様の登場を待つというひとときは

普段と違う時がゆっくり流れていました。

お月見と言えば、中秋の名月が思い浮かびますが

その後の、満ちる前の月をめでる十三夜の魅力に改めて気づかされます。

 

いにしえ人たちが水面に映る月影に心を寄せたように、

庭園の池に映る名月の風情に参加者銘々が名残りを惜しみつつ、

やがて散会となりました。

夕暮れから宵の月へと時の移ろいに任せ、秋の大名庭園ならではの

趣深い情景を味わいながらゆったりと遊び存分に堪能したひとときでした。

 

 

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(天空を巡る月は、庭園の水面に輝いて映りました。

参加者からのご提供の画像です。)

 

 

 

取材に協力してくださった、こゆるき会の村田真知子さま

参加者のみなさまに心より感謝申し上げます。

 

そして会場の肥後細川庭園 松聲閣のみなさまにご尽力を賜りました。

改めて御礼を申し上げます。

 

 

 

 

 

今年の2月に同じく肥後細川庭園 松聲閣にて開催された

こゆるき会さま主催「いにしえの姫方の遊びの会」の模様は

松聲閣さまのオフィシャルサイト「公園だより」にてご紹介していただいております。

こちらもぜひご覧ください。

http://parks.prfj.or.jp/higo-hosokawa/bulletin/春の雅なお客様/

 

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*1/f(エフブンノイチ)vol.4『乙女のあそび』ではこゆるき会主催の

「耳香」や「貝合わせ」を楽しむいにしえの姫方の遊びの様子を特集しています。

 

 

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併せてお楽しみくださいませ。*