Latest Issue vol.10
illustration:Seiko Kajiura / title:「カフェ ノンクロン ~お茶を片手に日暮れまで友と語らへば~」
2023/April
最新号のごあんない
リトルプレス 1/f(エフブンノイチ) vol.10
おしゃべりの時間。
ふと、おしゃべりしたくなる。
ひとの口とは限らない。
相手は犬のポチだったり、自分だったり、遠くへ行ってしまったあの人だったり。
内側の機微に呼応するようにしゃべり、時にはしっかり黙ったりすること。
これは、僕が僕であるためにひつような、結構だいじなことなのだ
[ふろく]
梶浦聖子さん描き下ろし
カフェ・ノンクロンのコースター
( 2 sheets /活版印刷)
※店舗初回納品分/オンラインショップは 3 sheets 〈特典〉
鋳造作家・梶浦聖子(かじうら・せいこ)さんが手掛けた今号の装画
「カフェ ノンクロン~お茶を片手に日暮れまで友と語らへば~」。
ノンクロン(Nongkrong)とはインドネシアのことばで
「仲間とくだくだおしゃべりしたりお茶を飲んだりすること」だといいます。
今回のテーマ「おしゃべりの時間。」にちなんで生まれた絵の中だけのカフェです。
そのカフェのオリジナルコースターができました。
ちょっとお茶でもして、いっしょの時間をすごそう。
[定価/サイズ]
909円(税抜)
A5サイズ、厚さ4ミリ
[内容のご紹介]
[プロローグ]
『森の生活 ウォールデン』から読むソロー流・おしゃべり術
しゃべりたいものとは「間隔」を開けよ
アメリカの作家・思想家ヘンリー・ディヴィッド・ソロー。
ひとりで森に入り、湖のほとりに自ら建てた小屋で
約2年間の自足した隠遁生活を送ったことからも、
孤独を友とした質素な暮らしぶりにスポットが当たることの多い彼ですが、
小屋の中には自分の孤独を慰めるための椅子だけでなく、
友だち用、そして社交用と、それぞれの役割を持った三脚の椅子を置いていたといいます。
そんな彼の「おしゃべり術」を名著から引いてきましょう。
[本の紹介]
「おしゃべりにまつわる本」
文・大勢待なつみ
朗読や手製本と、本と向き合うひとときを
大切にしている大勢待なつみ(おおせまち・なつみ)さんが
おしゃべりを慈しむまなざしで4冊の本を選びました。
『悲しみの秘義』(若松英輔[著]ナナロク社)や
『生きるとは、自分の物語をつくること』(小川洋子[著]、河合隼雄[著]新潮社)など。
それぞれの本の中で交わされているおしゃべりに、そっと耳を傾けます。(全4ページ)
[イラスト集]
「Even without words ことばはなくとも」
英訳・長島咲織 絵・N.Keiko
ことばはなくとも、伝わるものとはなんだろう?
そんな問いから生まれた、ちょっと口ベタな3人組が繰り広げる
ことばと絵のパロディ・イラスト集。
19世紀・ヴィクトリア時代の小説作品へのトリビュートを込めて。
日々のことを綴ったり撮ったりしながら
翻訳をされている長島咲織(ながしま・さおり)さんによる英訳でお届けします。
絵本のように、めくってみてください。(全10ページ)
「ことばはなくとも、きもちは伝わる?
口ベタな3人のにちじょうを ちょっとだけのぞいてみよう。
ぺちゃくちゃおしゃべりがなんでも いいわけではあるまい」(冒頭より)
[エッセイ]
かごの中のからあげ
文・鈴木容子
普段から哲学に親しんでいる鈴木容子(すずき・ひろこ)さんによる
「おしゃべり」をテーマにしたエッセイ。
対話でたいせつにしていることから、
日々の子育てで気づいた「おしゃべり」の実体験まで。
やがて、哲学の名著の一節へと、思索はきょうも
ふくらんでいきます。(全4ページ)
画像提供 : クレプスキュール フィルム
[映画紹介]
ことばの向こう岸へ。
『WANDA』(1970年)監督・脚本・主演 バーバラ・ローデン
こころを打つものに出合った時、人はそれをかんたんに
ことばにしてしまうことをためらうのではないだろうか。
余韻にとどまり、あれは一体何だったんだろうと、
いつの間にか反芻(はんすう)している。
その時きっと、人はことばの向こう岸にいる。
ことば少なだからこそ伝わってくる作品に出合うと、なおさらに
今日は、そんな名画の一つであり、アメリカ・インディペンデント映画の代表作として
近年輝きを増し続ける『WANDA』(1970)を紐ときます。(全10ページ)
[エッセイ×音楽・映画紹介]
物語のある風景
「ふと、思い出す会話」
文・トムネコゴ店主 平良巨
吉祥寺・井の頭公園のはずれには
人びとがそれぞれに静かな時間を過ごす喫茶店・トムネコゴがあります。
店主・平良巨(たいら・なお)さんによるエッセイ。
今回のタイトルは「ふと、思い出す会話」。
人と対話することの原風景となった、忘れることのできない若き日のある記憶 。
平良さんによる「おしゃべり」の妙味を感じるムービー&ミュージック4選も。(全6ページ)
画像提供:ソニーピクチャーズ ©️1993 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.
[映画鑑賞]
俳優アンソニー・ホプキンスで味わう
ジェームズ・アイヴォリー監督作品
「うつくしい会話」
20世紀初頭の英国の上流階級を舞台にした文学作品を土台に
社会の縛りの中で模索しつつも、
懸命に生きようとする人を静謐に描いたジェームズ・アイヴォリー。
悲喜こもごもな人間模様から生まれる対話。
1980年代後半から90年代までのそれらアイヴォリー作品の中で、
主要なキャラクターを何度も務めたのは俳優アンソニー・ホプキンス。
彼の数々の名演から生まれたうつくしい会話にも耳を傾けてみましょう。
『日の名残り』(1993)、『ハワーズ・エンド』(1992)ほか(全6ページ)
[エッセイ]
What’s Going On
Kが、置いていったゴッホの手紙
文・鈴木修司(工房 百木根)
岐阜・恵那の山里にある工房で
独自の古染付、新しい伝統作品を生み出しつづけている
工芸作家・鈴木修司(すずき・しゅうじ)さんによるエッセイ。
「ハスの花が咲き出すこの時期に、
工房の蓮鉢には毎年、シオカラ蜻蛉(とんぼ)が帰ってくる 」(本文より)
ある夏の日、帰郷してくれた蜻蛉が運んできたのは二冊の本と
遠い日の、おしゃべりの記憶だった。(全6ページ)
[巻末エッセイ]
妙ちくりんな空飛ぶ生きもの
文・長尾契子
「小学2年生の秋も深まりかけてきたときのこと。
私は下唇をかんでいた。学習机にのせた白紙のままの
わら半紙をじっと見つめがら 」(本文より)
1/f編集人による巻末エッセイ。(全5ページ)
[巻末まんが]
妄想少女と神の化身(全4ページ)ほか
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